第18回 C-Netひたち俳句会
朝晩は日ごとに秋色が深まって参りました。澄んだ虫の音色に心和むこのごろです。
気候もよく紅葉も美しくなる時期です。自然に親しみ良い句が授かることを願っております。
・日時:10月18日(水)14:00~17:00
・場所:NPO法人 コミュニティNETひたち多賀事務所
小野先生のお話
今回は、「写生」についてのお話でした。
・甘草の芽のとびとびのひとならび |
高野素十 |
写生の手本の句。
自注:一つの稚きものの宿命の姿が「とびとびのひとならび」であった。
それを私は哀しきもの、美しきものと感じた。 |
・遠山に日のあたりたる枯野かな |
高浜虚子 |
・おりとりてはらりとおもきすすきかな |
飯田蛇笏 |
・瀧の上に水現れて落ちにけり |
後藤夜半 |
例句 |
・田螺やや腰を浮かせて歩みだす |
野中亮介・・・視覚 |
・酸素噴く音の中なる初明かり |
綾部仁喜・・・聴覚 |
・冬の夜や玩具に残る子の匂い |
田中春生・・・嗅覚 |
・煮凝りは魚の涙の味したり |
鈴木鷹男・・・味覚 |
・ゆったりと引けば捲れる桃の皮 |
岩田由美・・・触覚 |
俳句は、絵画、写真と違って、言葉で表現するものである。見たままではなく、どの部分を
切り取るか、焦点を絞り、言葉でいかに表現できるかである。
写生は、姿勢、態度の問題にかかっている。例句を通して、解かり易く説明して下さいました。
皆さんも一句を まとめる場合は、参考にして、推敲しましょう。
第18回C-Netひたち俳句会結果
◆小野さとし先生選◆
特選 |
枕辺に毬栗一つ見舞い客 |
芳洲 |
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◎ |
秋日濃き古代住居の竃跡 |
斐紗子 |
◎ |
湯治宿物売りの声秋深し |
淳 |
◎ |
常陸野の大落日や稲の波 |
光夫 |
◎ |
すがれ虫足もと暗き海の街 |
敦子 |
○ |
雨上がり十六夜の月冴えにけり |
興洋 |
○ |
一人旅車窓に秋の裏筑波 |
正 |
○ |
秋風や久慈の台場を吹き上げて |
秀峰 |
○ |
初紅葉丸屋藁屋根ふくらめり |
キミ子 |
毬栗 写真:宇梶会員 |
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