第109回C-Netひたち俳句会
4月に山陰、四国を1週間ほど旅行しました。道後温泉に正岡子規の記念館があり、様々な資料が展示されています。子規が自ら編集した「なじみ集」には明治26~27年を中心に、高浜虚子や河東碧梧桐など子規馴染みの俳人98人、約4,000句が収録されています。原稿は手書きで、コメントも付記され当時の苦労が偲ばれます。
記念館では毎月句会が実施され、優秀句が入口近くに展示されていました。(村山記)
5月の句会
・日時:5月21日(水)13:00~16:30
・場所:NPO法人
コミュニティNETひたち多賀事務所
櫻井キミ子さんの句集『少年』 当句会のリーダーで、「対岸」同人の櫻井キミ子さんが初句集『少年』を出版されました。(株式会社 文學の森発行 平成26年5月)。平成2年~25年の句が収録されています。
今瀬剛一「対岸」主宰の丁寧な書評、句評も記載されています。
ご一読希望者は当句会メンバーにご連絡ください。
小野先生の講話
今月は「俳人 茨木和生の句について、今瀬剛一先生他による鼎談」のお話でした。
茨木和生は1939年生まれの俳人で、季節感、風土性のある句を多く発表しています。
例句
「万年も前もこの岩山桜」
:岩も山桜も万年の昔からある。伝統的に深い歴史を感じさせる岩、山桜の組み合わせで うまく歴史の膨らみを引き出している。
「気泡吐くことも刻かけ山椒魚」
:山椒魚が気泡を吐く様を、刻かけてと捉えたところが素晴らしい。対象を心の底から受 け止めることによって生まれた句と言える。
「空高く夜の明け来るさくらかな」
:空高くとさくらで季語が重なる。春に空を高く感じることもあるが、空高くはやはり秋の季語。誤解を招く。春にさわやかな天気というようなもの。季節感には潔癖でありたい。(今瀬先生)
下記は茨木和生の句ではないが類似例として
「空高く土鳩の群れや五月来る」
:上記3番目の句と同じ。俳句には定型があり、これを窮屈という人もいるが、これを大 事にしたいという人も多い。やはり俳句にとっての定型、決まりは大切にしたい。
◇109回C-Netひたち俳句会結果 ◇
特 選 |
初燕上野の森の美術館 |
興 洋 |
準特選 |
若葉光どつしりとある薬医門 |
キミ子 |
◎ |
しほさゐを子守歌とし石楠花や |
斐紗子 |
◎ |
リハビリを奮ひ立たせり若葉光 |
源 一 |
○ |
膝抱きて八十八夜の湯に浸る |
光 夫 |
○ |
卯の花や姉の唄ひし日の遠し |
芳 州 |
○ |
座禅する鐘の音遥か薄暑光 |
正 |
○ |
掌を開く赤子のやうな若もみぢ |
典 男 |
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