第89回 C-Netひたち俳句会
9月14日に天心美術館・五浦・大津港界隈を吟行して来ました。相変わらず暑い日でした。東日本大震災の津波の影響により流失した六角堂が再建され、4月より一般公開されています。岡倉天心がここで瞑想に耽ったと言われる六角堂、以前は畳敷きでしたが現在は板敷きになり、中心に六角の炉が切られていました。唐風な赤い建物は弁柄色が新しくまだ落ちつきませんが、海は透明で海岸の風景は素晴らしい。廻りの木々が無くなってしまった天心邸。新しく植えられた芝生は時間がたてばしっくり落ち着くことでしょう。
写真:下欄の「五浦の再建された六角堂」をご覧ください。
9月の句会
・日時:9月19日(水)12:00~16:00
・場所:NPO法人 コミュニティNETひたち多賀事務所
小野先生の講話
今月は『良い俳句の話』でした。皆んなで下記の例句を鑑賞、感想を話し合いました。
例句
○ 真つ白な一枚八月の手紙 酒井 弘司 (朱夏)
映画「一枚のハガキ」が思い浮かぶ。「真つ白な」は無念、残念、悔しい思い。
「八月の」に戦争、敗戦日を思う。
○ わが死後もそびゆる大樹冬の水 今瀬 剛一 (対岸)
「わが死後も」は人は生れた時から死に向かっている。人間は100年、樹木は100年から1000年生きる。「そびゆる大樹」平安、徳川を見下ろしてきた大樹、敬意、憧憬を思う。「冬の水」偽り無く冬の水に映っている。厳しい、厳然としている。嘘偽りなく生きてきた、自分の人生とも重ねている。大樹にあやかりたい。
○ 寒昴たれも誰かのただひとり 照井 翠 (草笛)
「たれも誰か」は、誰もが固有の存在、そしてみな「ただひとり」である。三月十一日、震災日が思われる。寒の昴星。
○ 寒木の一枝一枝や命張る 西嶋あき子 (春燈)
裸木となっても一枝一枝が命を張って頑張っている。
○ 眠る山一日みてすぐ一日癒ゆ 西嶋あき子 (春燈)
解り易い句。
第89回C-Netひたち俳句会結果
◆小野さとし先生選◆
特選 |
廃船に大きな錨鳥渡る |
斐紗子 |
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◎ |
日除けによし食べてなほよしゴーヤかな |
要四郎 |
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◎ |
わが影へおどけて見せる秋の暮 |
芳 洲 |
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○ |
朝霧の街灯ともり坂の町 |
興 洋 |
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○ |
閑かなる川辺の湯小屋汗の旅 |
典 男 |
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○ |
故郷の葡萄届きて姉元気 |
正 |
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○ |
甚平着て茨城弁の語尾跳ねる |
光 夫 |
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○ |
一人居る湯浴みの窓の遠花火 |
源 一 |
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○ |
大花野明日と言ふ日明るい日 |
キミ子 |
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