第97回 C-Netひたち俳句会
5月11日「第9回蕪村結城賞全国俳句大会」が結城市民情報センターで行われました。
新川 和江(現代詩人)・今瀬 剛一(俳句「対岸」主宰)・北畠 守(結城副市長)の合評鼎談(ていだん)があり盛会裡に終わりました。 事前投句数1922句、当日投句数一人一句で88句88名の参加でした。
事前投句
蕪村結城賞 |
帰るよと触れて墓石のあたたかし |
小池 芳三 |
準蕪村結城賞 |
空よりも水面明るし初つばめ |
小山 徳夫 |
準蕪村結城賞 |
雪しんしん一村おおむねのつぺらぼう |
篠崎 六美 |
茨城県知事賞 |
にわとりも乗せ水戸線の初電車 |
鈴木 岬 |
結城市長賞 |
故郷に忘れ物あり鮭のぼる |
田中 悦子 |
新川和江 |
箱を出て鏡の欲しき雛かな |
宮下 艶子 |
今瀬 剛一特選 |
故郷に忘れ物あり鮭のぼる |
田中 悦子 |
5月の句会
・日時:5月15日(水)13:00~16:00
・場所:NPO法人 コミュニティNETひたち多賀事務所
小野先生の講話
今月は『即かず、離れず』についてでした。
俳句を季語と季語以外の2つの素材に分けて考え、この2つを上手く配合して
一句を作る。
この2つが近過ぎ(即き過ぎ)ても、離れ過ぎても句に広がり、奥行き、余情、
余韻が生まれない。2つの素材の間に連想や想像を生むような工夫が必要。
詩を感じさせるもの。 有働 亨
例1.「沖高く船が行くなり土用波」
沖高く船が行くと季語土用波が近過ぎて、情景の描写になってしまった。
「向日葵や沖高く行く輸送船」とすれば作者の立ち位置から沖行く船まで
情景の広がりを感じさせる句となる。
例2.「問診に記す一病や秋時雨」
秋時雨が晩秋の侘しさ、寂しさを感じさせる季語なので、即き過ぎとなる。
「問診に記す一病や暮れの秋」くらいにしたい。
例3.「天ぷらの油よく爆ぜ柿日和」
天ぷらの油よく爆ぜ は元気な表現だが、柿日和は明るいが静かな季語。
2句が離れ過ぎている。「天ぷらの油よく爆ぜ鵙日和」なら違和感がない。
例4.「陶工の薪を運べり枯葎」
陶工が黙々と作業に励んでいる姿に、枯葎の情感が合わない。寒椿がよい。
「陶工の薪を運べり寒椿」
例5.「泣くときにつかふ腹筋豊の秋」 辻 美奈子
赤子の泣き姿を想像すると、豊の秋の季語がよく合っている。
例6.「枕やや高しと思ふ遠蛙」 片山 由美子
寝つかれぬ夜に、遠蛙の声が即かず離れずよく合致している。
例7.勇気こそ地の塩なれや梅真白 中村 草田男
みなさん鑑賞して下さい。 ( 村山 典男記 )
第97回C-Netひたち俳句会結果
◆小野さとし先生選◆
特選 |
(無し) |
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◎ |
曲がり家の裏のせせらぎ夏めけり |
斐紗子 |
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◎ |
完円の蒲公英の絮風を待つ |
キミ子 |
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○ |
小さき鼻つまみて又ねと春の駅 |
光 夫 |
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○ |
花見山より望む雪形うさぎかな |
興 洋 |
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○ |
高遠や花と絵島の屋敷跡 |
典 男 |
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○ |
鈴蘭の風雨に負けぬ力あり |
正 |
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○ |
葉桜の大樹堂々揺るぎなし |
芳 洲 |
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○ |
白鷺の田水の深さ測りをり |
源 一 | |
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